法テラスとは
概要
法テラスとは、正式名称を「日本司法支援センター」と言います。
これまで日本では経済的な理由で弁護士などの法律の専門家に相談することができないこと、近くに専門家がいないことが問題になっていました。そんな世の中で、法テラスはこれらの問題を解決し、国民がどこでも法的なトラブルに対処するサービスを享受することができるように、総合法律支援法に基づいて、法務省が所管する制度です。
要するに、法テラスは「お金がないけど専門家に相談したい!」という人にぴったしの場所なのです。
法テラスが提供するサービス
法テラスは、問題解決に役立つ法制度や相談窓口を無料で案内する業務(情報提供義務)や、犯罪の被害に遭われた方への支援業務などを行っています。この記事では取り分けて、「民事法律扶助業務」について解説します。
民事法律扶助義務について
法テラスは、経済的に余裕がない方が法的トラブルにあった場合に限って、民事法律扶助業務を提供しています。
そのため、以下の収入基準と資産基準を満たさなければ利用することができません。
【収入基準】
申込者又は配偶者が、家賃又は住宅ローンを負担している場合、基準表の額を限度に加算できます。
なお、括弧内は、東京、大阪などの大都市の場合です。
世帯の人数 申込者と配偶者の手取の月収額 家賃や住宅ローンを負担している場合に加算できる限度金額 1人 182,000円以下(20,200円以下) 41,000円以下(53,000円以下) 2人 251,000円以下(276,100円以下) 53,000円以下(68,000円以下) 3人 272,000円以下(299,200円以下) 66,000円以下(85,000円以下) 4人 299,000円以下328,900円以下 71,000円以下92,000円以下 【資産基準】
資産合計額には不動産、有価証券などの時価と現金、預貯金との合計額が下表の基準を満たしていることが要件となります。
ただし、無料法律相談の時点では、申込者及び配偶者の有する現金、預貯金の合計額のみで判断されます。
人数 資産合計額の基準 1人 180万円以下 2人 250万円以下 3人 270万円以下 4人 300万円以下
このように明確に基準が決まっているので、目を通しておいてください。
法律相談援助とは
法律相談援助とは、法テラスと契約を結んでいる弁護士や司法書士に、一回当たり30分程度、一つの法律問題につき、3回まで相談することができます。
その中で、難しい手続きなどの書類も弁護士の方に頼んでやってもらうこともできます。これを書類作成援助と言います。
法テラスの制度を利用するメリットとデメリットについて
それではわかりやすく、法テラスに関してメリットとデメリットに分けて整理していきましょう。
メリットは?
メリットは、やはり、相談料が無料で、弁護士費用も低額に抑えられるということでしょう。
加えて、法テラスに立て替えてもらった弁護士費用は、分割で返済すれば足ります。
返済する金額も毎月5,000円から10,000円程度と低額です。
デメリットは?
①利用するための条件があること
まずは、収入基準と資産基準があることでしょう。
収入基準を上回る毎月の収入はあるものの、そのほとんどを返済に回しているため、債務整理を希望しているという人は、法テラスの制度を利用することができません。
その場合、法テラスの制度を利用することなく、弁護士に依頼するしかありません。
もっとも、中には弁護士費用の分割払いに応じてくれる弁護士もいますので、最初から諦めずに、相談に行ってみましょう。
②審査に時間がかかること
借金をしている人が、弁護士に依頼したいと考える最大の理由は、債権者からの取立てから逃れたいというところにあると思います。
しかしながら、法テラスの制度の利用を希望している人が条件を満たしているかの審査には2週間から1か月程度かかると言われています。
その間、弁護士から債権者に連絡を取ることはできません。
法テラスの制度を利用することなく、弁護士に依頼した場合、相談に行ったその日に債権者と連絡を取ってくれる弁護士もいるので、この点はデメリットと言えるでしょう。
できる限り早めに審査に必要な書類を集めて、法テラスに提出することが重要です。
③弁護士を選べないこと
法テラスの事務所へ相談に行き、そのまま弁護士に依頼することとなった場合、法テラスの事務所の方で担当する弁護士を決めるので、弁護士を選ぶことはできません。
相性が合う、合わないということが生じることは否めませんので、この点はデメリットと言えるでしょう。
なお、このデメリットについては回避する方法があります。
法テラスの民事法律扶助を利用する方法には「持ち込み方式」という方法があります。
「持ち込み方式」とは,法テラスと契約をしている弁護士が,自分のところへ相談に来た人が法テラスの制度の利用を希望した場合に,法テラスへ利用の申込みする方法です。
したがって、自分が依頼を希望している弁護士が法テラスと契約をしていて、法テラスの制度を利用して依頼することを了承してくれるのであれば、弁護士を選ぶことができるのです。
まとめ
自分の借金の問題についてどうしても現実から目をそむけたくなってしまいますが、そこでしっかりと現実を見て行動をすることは大切なことになってきています。
特に現代では、法テラスなどの法環境の整備により、消費者も気軽に専門家に相談ができるように制度も整えられています。そのため、国が整備した環境の中で上手に借金を解消していくのも一つの手段であります。
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